モノを持つほど心が豊かになる、という考え方がある。私の祖母は「モノを持てば持つほど心が豊かになる」とよく言っていた。モノのない戦争の時代を生きた祖母なので、その考えもよく分かる。しかし実際には、モノを持つほど心は豊かになるのだろうか。
「モノを買ったら心が豊かになる」と感じるメカニズム
モノを購入したら、脳の中ではどんなことが起こっているのだろうか。脳内では報酬系物質のドーパミンちゃんがドバドバ放出されている。このドーパミン、脳内麻薬と呼ばれているほど「良い気分」にさせてくれる。だから、モノを買ったらテンションが上がったり嬉しくなる。その結果、心は豊かになるのだろうか。
実は、モノは心を豊かにしてくれない
限界効用は逓減する
夏にビールを飲む時、一番美味しく感じるのは一杯目だ。いくら飲んでも最初の一杯目の美味しさを超えられない、という経験は誰しもあるのではないだろうか。どんなに美味しいビールでも、飲み続けるうちに美味しさの度合いは低下していく。これは大半のモノやサービスに共通する現象で、「限界効用逓減の法則」と呼ばれている。
持てば持つほどモノへの満足度は下がる
ビールに飽きてしまったらおつまみを頼むと、また高い満足度を得られる。しかしそのままおつまみを頼み続けると、また満足度は下がってくるのだ。
モノ自体ではなく「刺激の差」がもたらす満足感
これらからわかることは、人は「刺激の差」によって満足感を得ているということだ。持ってない状態から持っている状態になった時に、満足するのはこのためだ。しかし、どんなに美味しくても、魅力的なものでも、慣れると刺激がなくなり、飽きてしまう。満足感を得られなくなってしまうのだ。これは人間の脳の構造上仕方ないことだ。
沢山持っても心が豊かにならないのなら、モノを手放してみよう!
モノをいくら持っても、それがもたらす心の満足度には限界があることが分かった。幸せを感じるには、モノに執着せず、モノ以外のことに心を向けることが必要だ。その第一歩として、ぜひ家の中のものを何か手放してみてほしい。もし以下のようなものがあれば、思い切って手放してみよう。
・明らかなゴミ ・賞味期限切れの食材、調味料 ・一年以上使っていないモノ ・気に入っていないモノ ・使用頻度の低いモノ(書類、服、靴やバッグなど)
などから順に手をつけていくと、手放しやすくなるだろう。
また、捨てるのに罪悪感があって難しい場合は、以下の方法もおすすめだ。
・あらゆるもの:メルカリ、yahooオークションなどで売る ・小型家電:自治体や電気屋さんの無料回収に出す ・服:古着買取店で買い取ってもらう(2nd streetなど) ・本:古本屋で買い取ってもらう(ブックオフなど) ・食品:賞味期限切れでないものは、フードバンクなどに寄付が可能 ・その他:買取業者に来てもらって一気に手放す(エコリングなど)
モノの代わりに「経験」を手にいれよう
あなたの心を満たすために必要なもの、それは経験だ。あなたの心の中には、一度はやってみたいけど挑戦していないこと、後回しにしていることはないだろうか。自分の心と向き合うことで、マイナスになることは何一つない。もし思い当たることがあれば、早速やってみよう。何かを始めるのに遅すぎることなどない。思い出や経験の合計が、あなただけの人生になっていく。経験こそが、あなたの心を満たし、心豊かな人生を作ってゆくのだ。
新しいものは手放さないと入ってこない。息は吐かないと吸えないのと同じだ。新しい経験に出会うために、モノを手放すということを、ぜひ今日からやってみてほしい。
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